表紙の掟
- narutaka yamada
- 3 日前
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更新日:2 日前

その表紙、覚えられていますか?
よく「表紙はカタログの顔である」と言われますが、これは決して大げさな表現ではありません。むしろ一歩踏み込めば、表紙はそのまま企業の顔と言ってもいいでしょう。カタログは一度配布されたら、ユーザーの手元に置かれ、日々の仕事を支える相棒のような存在になります。だからこそ、親しみやすく、好印象を与える“顔つき”であることは大前提です。
とはいえ、ただニコニコと愛想のいい顔をしていれば十分かというと、話はそう簡単ではありません。印象に残らない表紙は、存在しないのと同じ。表紙づくりで最も意識すべきポイントは、この「存在感」をどう演出するかに尽きます。
その第一歩としておすすめしたいのが、自社の立ち位置の再確認です。SWOT分析などを用い、自社の強み・弱みを冷静に洗い出す。さらに、競合各社の表紙をデザイン傾向ごとに整理し、縦軸・横軸のマトリクスに落とし込んでみる。そうすることで、自社がどこに立ち、どこを狙うべきかが、意外なほどクリアに見えてきます。
比較的取り組みやすい差別化の手段が「色」です。自社に明確なイメージカラーがあるなら、それを軸に据えない手はありません。書棚に並んだとき、背表紙や表紙の色だけで「あの会社のカタログだ」と認識される状態を目指したいところです。
次に考えたいのが、「具体化」か「イメージ」かというアプローチの違いです。表紙を見た瞬間に「何のカタログか」が分かる具体的なビジュアルは、非常に分かりやすく効果的です。ただし、デザインの完成度が低いと、情報過多やチープな印象につながりかねない点には注意が必要です。
一方で、あえて具体的な説明を避け、カタログ全体の思想や世界観を伝える方法もあります。掲載商品の中から“エース級”の一点を大胆に見せ、そこに強いコピーを添える。情報を削ぎ落とすことで、逆に印象が深く刻まれるケースも少なくありません。
さらに、忘れてはならないのが「加工」という武器です。マット加工、ニス引き、厚盛り、浮き出し、箔押し——。こうしたプラスアルファの加工は、視覚だけでなく触覚にも訴え、カタログ全体の格を一段引き上げてくれます。
余談になりますが、これまでに筆者が出会った中でも印象深かった加工例があります。表紙に直径5〜6cmほどの丸穴を大胆に開け、中面がちらりと覗く仕掛けや、裏表紙に白い丸スペースを設け、誰のカタログか一目で分かる“顔”を描ける仕様など、発想一つで記憶に残る表紙は生まれるものです。
大切なのは、他にはないオリジナリティを持ちつつ、時代が変わってもブレない「同じ顔」をユーザーに届け続けること。それこそが、表紙デザインにおける最大の掟なのだと思います。



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