カタログ制作の舞台裏と、「見えない仕事」の話
- narutaka yamada
- 2月14日
- 読了時間: 3分

カタログをつくる―。
一見すると、レイアウトの枠に商品を当て込んでいくだけの作業に見えるかもしれません。
しかし実際の現場では、その何倍もの工程が静かに、着実に積み上げられています。今回は、制作側の作業工程を分解しながら、あまり語られることのない「ディレクション」という仕事について考えてみたいと思います。
まずは準備段階から
制作は、いきなりページを組み始めるわけではありません。
全体のスケジュールを設計する
誌面フォーマットを固める
フォーマットにルールを与える
そのルールに基づいた組版システムを整備する
模擬テストを行い、不測の事態に備える
ここまでやって、ようやく“スタートライン”です。
この段階でどれだけ精度を高められるかが、後工程のスピードと品質を左右します。
実制作は「整理」から始まる
実際の誌面制作に入ると、まず行うのは「入稿原稿の整理」です。
次工程の作業者がスムーズに動けるように、
テキストデータの確認
画像データのチェック
レイアウト指示の整理
注意事項の明文化
ページごとのフォルダ分け
こうした準備を徹底します。
支給画像は本当に使える解像度か?テキストに誤記はないか?不足素材はないか?
一つひとつ確認していくと、1ページあたり軽く1時間は超えます。
そして、整理された素材を各担当者が加工し、最終的にDTPで集約して、誌面が形になります。
校正もまた、整理の連続
校正段階では、第三者が原稿とカンプを突き合わせてチェックします。
クライアントからの修正戻しがあれば、再度整理。各工程へ正確に橋渡しし、再構築。
この繰り返しで、ようやく校了にたどり着きます。
見積の話を、少しだけ
ここで改めて、制作費用の見積について考えてみましょう。
多くの場合、判断基準は「誌面構成の見た目」です。
「区画に商品を流し込むだけでしょ?」「ページ単価3,000円くらいでは?」
確かに、DTP作業“だけ”であれば、そのくらいかもしれません。
しかし問題は、その前後にある膨大な「整理」のコストです。
例えば、整理作業者の時給が1,500円だとしても、1ページに1時間以上かかるなら、それだけで1,500円以上の原価が発生します。これは当然、見積に反映されるべき数字です。
「ディレクション費って何?」という誤解
よく聞かれます。
「ディレクションって、原稿の受け渡し係でしょ?」
違います。
目に見えない部分で最も労力がかかる工程――それを担っているのがディレクターです。
原稿を整え、工程を整理し、事故を未然に防ぎ、品質を保つ。この仕事があるからこそ、制作は回ります。
私の肌感覚では、制作費の割合は
ディレクション費 7 : DTP費 3
ページ単価で言えば、
7,000円(ディレクション)+3,000円(DTP)=10,000円
これが一つの妥当な目安だと考えています(もちろん原稿精度によって上下します)。
さらにここに、
事前準備費
システム開発費
画像加工費
イラスト制作費
撮影費
などが加わり、総制作費が構成されます。
なぜ裏方に光が当たらないのか
不思議なのは、この“見えない仕事”に、なかなか光が当たらないことです。
しかし、断言できます。
ディレクションの質で、カタログの完成度は決まる。
整理が甘ければ、混乱が起きる。整理が徹底されていれば、品質は安定する。
地味で、派手さはない。けれども、最も重要な工程。
この価値が正しく評価される世の中になってほしい――そう願わずにはいられません。
カタログ制作とは、単なるレイアウト作業ではありません。
それは「情報を整える技術」なのです。



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