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属人化問題


500ページを超える総合カタログを発刊するとき、制作側のキーマンは誰になるのだろうか。編集長か、アートディレクターか、それともDTPの責任者か。

結論から言ってしまえば、多くの現場でその役割を担っているのは「担当営業」である。

もしこのポジションを、たとえばデザイナーが全体統括者として担ったらどうなるか。当然ながら、意識はデザイン工程に寄りやすくなる。すると、知らず知らずのうちに、顧客の要望とのズレが生じてくる。DTPの責任者が同じ役割を担った場合も事情は似ている。業務領域に視点が寄り、結果として全体のバランスを欠きがちになる。

総合カタログは、とにかく全体を見る仕事だ。工程、予算、スケジュール、品質、そして顧客の感情。これらを同時に俯瞰できる立場でなければ、うまく回らない。そう考えると、やはり営業が適役だという結論に行き着く。

もっとも、この役割は決して楽ではない。コミュニケーション力はもちろん、部署間の調整、顧客対応、時にはクレーム対応まで求められる。判断は常に即断即決。迷っている暇はない。電光石火のように決断を重ねていく、相当タフな精神力が必要になる。

しかも、求められるのは精神論だけではない。製品知識、印刷知識、制作フローへの理解。どれも中途半端では務まらない。一朝一夕で身につくものではないのだ。

結果としてどうなるか。このポジションにはなかなか後継者が育たず、ベテランに業務が集中する。「この人でなければ無理」という、いわゆる属人化が起こる。

実は、クライアント側もまったく同じ構図だ。気づけば、いつも同じベテラン社員が窓口に立っている。「さすが○○さんですね」と言われ続けて25年。毎年同じ仕事をこなし、定年が目前に迫る。そのとき初めて、後継者問題が現実のものとして立ち上がってくる。

若手はどう思っているか。表では言わないが、内心は「できればやりたくない」。理由は単純で、とにかく大変だからだ。

制作会社に目を向けても、状況は変わらない。「クリエイティブじゃないから」という理由で、この役割は敬遠されがちだ。しかし、その一方で現場は確実に必要としている。

紙媒体は減る、減ると言われ続けて、もう25年以上が経った。それでも、総合カタログの発刊をやめる企業は、ほとんど存在しない。

では、この先、総合カタログの現場はどうなっていくのだろうか。答えはまだ見えない。ただ一つ確かなのは、「誰が全体を見るのか」という問いだけは、これからますます重くなっていく、ということだ。

では、どうするべきか・・・To be continued

 
 
 

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