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デザイナーは職人なのか

デザイナーという仕事は、果たして「職人」と呼べるのだろうか。この問いを、私は時々考える。

そもそも職人という言葉から思い浮かぶのは、たとえば金属加工工場で旋盤に向かう職人の姿だ。「1000分の何ミリという精度で削り出す」「最後は機械ではなく、人間の手の感覚がものをいう」そんな世界である。

このイメージをそのままデザイナーに当てはめると、少し違和感がある。デザイナーは、1000分の何ミリという精度を日々追いかけているわけではない。また、コンピュータという機械よりも手先が優れている、という話でもない。

では、寿司職人はどうだろう。素材を見る目、魚の捌き方、シャリの加減、握りの力。そこには明らかに、長年の経験と感覚が必要とされる。そう考えると、デザイナーは旋盤工よりも、寿司職人に近いのかもしれない。

確かに、デザイナーにも似たような感覚の世界がある。余白の取り方、文字の組み方、罫線の引き方、フォントの選び方。ほんの少しの違いで、紙面の印象は大きく変わる。その判断には、やはり経験がものをいう。

ただ、それでも「デザイナー=職人」と言い切るには、どこかしっくりこない部分が残る。

おそらくデザイナーには、熟練の技や経験、知識に加えて、「まだ形のないものを生み出す力」が求められるからだろう。与えられた材料を美しく仕上げるだけではなく、何をどう見せるべきか、どんな考え方で構成すべきかを組み立てる。そこに、他の職人仕事とは少し違う性質がある。

そう考えると、デザイナーは「職人」というより、「創造する人」と呼ぶ方が近いのかもしれない。大工というより建築士。旋盤工というより設計者。手を動かす人であると同時に、考え、組み立て、形にする人である。

もちろん、そこに熟練の技が不要というわけではない。むしろ、経験と知識がなければ、よい創造は生まれない。感覚だけでも、理屈だけでも足りない。その両方を積み重ねた先に、デザイナーという仕事の本質があるのではないか。

デザイナーは職人か。答えは、簡単には出ない。ただひとつ言えるのは、デザイナーという仕事は、技術と感性、経験と創造のあいだに立っている、ということだ。

 
 
 

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